柔之術 武芯館

- 体のバランスで身を守る護身術 -

まずは得意(好き)な感覚を使って動く

 

前回のレジュメで、“動きの基本となる感覚はすべて準備運動の中に含まれている”というお話をしました。繰り返しになりますが、それぞれの柔軟体操で感じることができる重心位置や筋肉が伸びている感覚は、実際に使うときの技や動きと同じものです。

 

武芯館では、それぞれの準備運動で得た感覚を応用して技や動きを行い、逆に、技や動きを通して準備運動の理解を深めるというサイクル…同芯円上をグルグルと移動しながら螺旋階段を上っていくように感覚を深めていく稽古スタイルをとっています。

 

ですが、年齢、体型、好み、思考といった個人差によって“どの感覚が得意(好き)か?”は人それぞれです。肩甲骨を主体に動かす方が上手くいく方、股関節の感覚を中心に動かすのが得意な方、背骨を伝う重心の上下運動を用いた方が動きやすい方など違いが出てきます。

 

なので、準備運動のすべてを覚える(感覚を理解する)必要は無く、自分が心地良いと思う柔軟体操を中心に感覚を育んでいただければ大丈夫で す。ご自宅で柔軟されるときも、練習するという意識より、“この体操が気持ちいいからやっている”といった気軽な感じに行っていただいて問題ありません。

 

まずは得意(好き)な感覚から。感覚は水面に小石を投じたときに出来る波紋のように、他の波紋と干渉しあって増幅していきます。一つの感覚が育まれていきますと、知らず知らずのうちに他の感覚も深まっているといった感じです。きっかけは小さな小石で十分ですから。